またいつか君と、笑顔で会える日まで。
まずは燃えるごみと燃えないゴミで分別しよう。

それからペットボトルと缶に分ける。

段取りを決めてからゴミ袋を手に取った瞬間、奥の方で音がした。

振り返ると、部屋の奥から生気のない目をした母が出てきた。

ショートパンツと白いキャミソールといういでたちの母の顔は腫れあがり、キャミソールには赤いシミがついていた。

「アンタのせい。全部全部全部、アンタのせいなんだから!!」

驚いて固まっているあたしの元まで物凄い勢いで歩み寄ると、母は何の躊躇もなくあたしの頬をはたいた。

パシンッという乾いた音が部屋に響き渡る。

あたしは叩かれてピリピリ痛む頬を抑えながら母に視線を向けた。

「なんで!?なんで昨日帰ってこなかったの!?たっくんが具合悪いってラインしたでしょ!?それなのにどうしてよ!!」

鬼のような形相を浮かべて血走った目であたしを睨み付ける母はYシャツの襟元を両手で掴みあたしの体を前後にゆすった。

「リリカがいうこと聞かないからたっくん怒っちゃったのよ!?お母さん、殴られたんだから!!こんな顔じゃどこにもいけないじゃない!!」

母は一方的にあたしに怒りをぶつける。あたしは冷静に母の話を聞いていた。

「そんなのさ、お母さんが薬買ってきてあげたらよかったじゃない。そうすれば殴られなかったんじゃないの?」

「それができなかったから言ってるんでしょ!?お金がなかったんだもん!」

「薬買うお金もないの?お酒とたばこ買ったり、パチンコに行くお金はあるのに?」

言い終えてからゴミ袋の中に落ちていた空き缶を放り込む。

母は苛立ったようにあたしの手から袋を奪うと、床に投げつけた。

ガシャンっという音の後、缶の底に残っていたビールが床にシミを作った。

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