またいつか君と、笑顔で会える日まで。
「なにすんのよ!?」

「なんで?今さらそんなこといったってしょうがないじゃない!!ねぇ、リリカ。もっとバイト増やしてよ。その前に学校もやめてさぁ。働いたらいいじゃない。リリカはお母さんに似て可愛いし、夜の仕事でもすれば稼げると思うよ?18になったらできるし。それまでは昼の仕事しなさいよ」

こうやって話の論点をすり替えるのを母は昔から得意としていた。

口調は柔らかいけど言っていることは無茶苦茶で自分の意見を通すまでネチネチと繰り返す。

「悪いけど、無理。バイトもやめるって今日電話する」

「え。どうしてよ!?」

「バイトがバレて謹慎処分になったから。学校から連絡なかった?」

「そういえば……あったけどまだ出てないわ」

「そう」

あたしが頷くと母は露骨に笑顔を浮かべた。

「それなら好都合じゃない。バイト辞める必要なんてないわ。このまま学校なんて辞めちゃいなさい」

さっきまで鬼の形相を浮かべていた人間とは思えない。感情の起伏についていけない。

「あたし、辞めたくない。将来臨床心理士になりたいの。そのためには高校を卒業して進学しないといけないから」

「は?じゃあ、どうするのよ。お金、家にいれられなくなるじゃない!!」

「お母さんがもう少し仕事増やしたらいいんじゃない?」

「なんでそうなるのよ!!ほかの家の子はちゃんと家にお金いれてるわよ!?」

「他の家って一体どこの家の話をしてるの?」

「なっ……」

「あたしがどんなに頑張ってバイトしても、勝手に引き出されちゃってるんだもん。今月のバイト代、お母さん何も言わず引き出したよね?!あたしが働いたお金までお母さんは奪うの!?勝手なことばっかり言わないでよ!!」

言葉にすると涙が溢れた。

勝手すぎる。今も、今までも。あたしはお母さんの操り人形なんかじゃないんだ。

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