またいつか君と、笑顔で会える日まで。
「リリカ、何泣いてるのよ。前に言ったでしょ？泣くと幸せが逃げていくわよ！？」

嫌悪感丸出しの顔で母があたしを見つめる。

体中が怒りで震えた。今まであたしがどんな気持ちでその約束を守っていたか、お母さんは知らない。

「体のいい言葉だよね。あたしはその言葉にずっと苦しめられてきたっていうのに。でも、もうあたしはそんな言葉信じない。ずっと笑顔でもいない。お母さんに言われたとおりに生きるのはやめる。あたしはあたしの人生を生きる。だって、この人生はあたしだけのものだから！！」

「何言ってんのよ！！」

再び頬を張られた。

ジンジンっと痛む頬を抑えることなくあたしは母を睨んだ。

「これ、虐待だよね。児童相談所に言ったらどうなる？この部屋の状況も見に来てもらえばネグレクトだって一目瞭然だよね。あたしはもう子供じゃない。お母さんの好きにはさせないから」

母はギリギリと悔しそうに奥歯を噛みしめて血走った目をこちらに向けた。

「――アンタみたいな子、産まなきゃよかった！！」

何度か聞いたことのあるこの言葉。

あたしを傷付けると分かっているからこそ投げつけるこの言葉があたしは大っ嫌いだ。

「それよく言うけど、しょうがないじゃん。親が子を選べないように子だって親を選べないんだよ」

「生意気言うんじゃないよ！！」

髪を振り乱して絶叫する母とこれ以上まともな会話ができるとは思えなかった。

売り言葉に買い言葉。だけど、理性で押しとどめておかなければいけない言葉だってある。

いくら家族でも、親子でも、言ってはいけないボーダーラインはあるのに、母はそれを軽々しく飛び越えてしまう。
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