またいつか君と、笑顔で会える日まで。
バタバタと部屋の中を駆け回った後、高橋と母はあたしの意識が戻ったことに気付かぬまま部屋を飛び出していった。

体中が痛む。きっと肋骨は数本折れているだろう。もう立ち上がることはできそうもなかった。

顔がパンパンに腫れているのが鏡を見なくても分かった。

左目の中でコンタクトが破れてしまったのか、痛みで開けることができない。

何分かかっただろうか。相当な時間をかけてうつぶせの体制になると、床を這いつくばりバッグの方へとゆっくりゆっくりと近付いていく。

あと少し、もう少し。

自分を励ましながら必死にスマホに手を伸ばす。

目の前にチカチカと火花が飛ぶ。それでもなんとか最後の力を振り絞った。

「うぅ……う……ぅ」

ようやくスマホを掴んだ時、私はその場でおう吐した。

嘔吐物の中にも血が混じっている。

頭が鈍器で殴られたようにガンガンと痛む。そのせいでめまいがして思考が働かない。

「もえ……な……」

画面をタップすると萌奈からラインが届いていた。

昨日、撮ったケーキの写真を送ってくれたようだ。

画面には17本のろうそくが立ったケーキが映っている。

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