またいつか君と、笑顔で会える日まで。
「っうぅ……」

口から震えた声が漏れて慌てて両手で口を覆った。

同時に目頭が熱くなり、自然と涙が零れた。

辛かったあの日々はもう過去の記憶なのに。

中学は卒業したし、私をイジメていたあの子達とはもう二度と関わらないと心に決めたはずなのにどうしていまだに私はあの当時のことを思い出しては信じられないほどに感情を揺さぶられてしまうんだろう。

こうやって涙を流す日もあれば、髪の毛をかきむしってしまう日もある。大声で「あぁぁぁーーー!!」と意味なく叫んでしまうことだってある

だけどきっと、今の彼女たちの頭の中に私の存在なんて1ミリもないだろう。

自分たちがしたことを忘れ、今も楽しく生きているはずだ。

まさか私が過去のことを思い出してトイレで震えて泣いていることなんて想像もつかないはずだ

でも、それぐらいのことだ。人をイジメるということは。イジメられるということは。

それだけのことをしたという自覚を彼女たちにもってほしい。

そしてあわよくば、もう二度とそんなこをしないでもらいたい。

イジメられてひどく心を傷付けられるのは、私だけで充分だ。

【キーンコーンカーンコーン】

天井のスピーカーから休み時間の終わりを告げるくぐもったチャイムの音が鳴り響く。

私は鬱々とした気持ちでトイレの扉を開けた。

その瞬間、ハッとした。

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