またいつか君と、笑顔で会える日まで。
だって彼女は私のことを『友達』だと言ってくれる唯一の人だから。

「――ただいま~!!って、ちゃんと勉強してた~?」

リリカちゃんが戻ってきた。

私は弾かれたように立ち上がると、バッグを抱えたままリリカちゃんと目を合わせることなく後ろ側の扉に向かって歩き出した。

「あれ、萌奈帰っちゃうの~?また明日ねーー!」

リリカちゃんの声が背中にぶつかったのに、私はその声を無視した。

大股で歩いて教室から出て昇降口に向かう。

一日晴れだと朝のニュースでやっていたのに外れもいいところだ。

今日に限って家に折り畳み傘を置いてきてしまった。

外はいつの間に土砂降りで私は昇降口で立ちすくみ自分の運の悪さに愕然とした。

ザーッという雨の音が鼓膜を揺らす。雨の日は嫌いではない。むしろ好きだ。

傘をさせば、周りからの雑音も視線も気にならないから。

そのとき、スカートの中のスマホが震えた。

【リリカちゃん:傘、持ってきてる?なかったらあたしの傘使って!昇降口の傘立てにあるから。ちょっとボロボロのビニール傘!】

タイミングよくラインが届いた。

リリカちゃんは超能力でも使えるんだろうか。

どこかで私のことを見ている?キョロキョロと周りを見渡してもリリカちゃんの姿はどこにもない。
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