またいつか君と、笑顔で会える日まで。
頭のいい彼女が先回りして気を利かせてくれただけ。超能力でもなんでもない。
傘立ての方に歩みを進めると、傘立てには確かにリリカちゃんの傘が残っていた。
ちょっとボロボロレベルではなく、相当ボロボロのビニール傘。
あちこち錆びている。
すぐに捨てられてもおかしくない傘を使い続けているのがリリカちゃんらしいと思った。
人の目を気にしない、自分の道をまっすぐ突き進む。
なんだかそういうところが彼女らしい。
「ありがとう、リリカちゃん」
その優しい気持ちだけもらっておくね。
だって、この傘を使ったらリリカちゃんが濡れてしまう。
それに、傘の貸し借りをしたことがあの二人に知られたら困るのは私ではない。
リリカちゃんだ。
親切心で言ってくれているって分かってる。でも、私と関わっても彼女には何のプラスにもならない。むしろマイナスでしかないのだ。
彼女は私とは関わるべきではない。
【リリカちゃん:あたしは折りたたみもありから!傘、貸すぞな!!】
焦って打っているんだろう。珍しくメッセージは誤字だらけだ。
私はスマホの画面をタップした。