またいつか君と、笑顔で会える日まで。
なんてできもしないことを考えている自分が情けない。

私はリリカちゃんと一緒にいてはいけないんだ――。

バッグを肩にかけ直して大きく深呼吸した。

雨はまだ止む気配はない。もうどうにだってなれ。どうなったっていい。

普段だったらこんなバカな真似は絶対にしない。一時的な雨だろうし、少し待てばきっと雨は小康状態になるだろう。

頭ではきちんと理解していながらも投げやりな気持ちを抱えて私は雨に向かって突進した。

瞬間、全身を雨粒が打ち付ける。

べちゃべちゃとした不快な感触が足の裏全体に広がっていく。紺色の靴下が靴底にくっつきとにかく気持ちが悪い。

「なにこれ。もう。ホントいや!」

自分で行くと決めたくせに私は誰にともなくこのモヤモヤした感情を独り言に乗せて体の奥から空気中に吐きだす。

誰にも届くはずもないこの声に願いを託した。

「私だって友達が欲しいよ」

それすら望んではいけないというように雨粒は一層大きく激しなる。

再びスマホがブルブルと震えた。

取り出して手に取ると、濡れないようにタオルでくるんでからバッグの奥底に押し込む。

濡れないように。壊れないように。

雨はまるで今の私の心模様のようだ。
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