またいつか君と、笑顔で会える日まで。
今頃どんな気持ちでいるんだろう。でもきっと彼女のことだし私が無視したなどとそこまで深く考えていないかもしれない。

『萌奈、あたしの声聞こえなかったのかもね~!』と特に気にも留めないだろう。

彼女にとって私の存在はその他大勢の中の友達の一人だ。

今の私のようにこうやってウジウジ悩んだりすることもないだろう。

そう考えるとなんだか酷く虚しい気持ちになる。

青木萌奈という存在を誰にも認めてもらえないようなそんな気持ち。

間違ってもリリカちゃんのようにたくさんの友達が欲しいなんてそんな高望みはしない。

ただ、たった一人だけでいい。私のことを理解してくれる人が、家族以外でたった一人だけでもこの世界に存在したら私はきっと……――。

「萌奈~?大丈夫?」

扉越しに母の気配を感じる。

「うん。今出るから」

シャワーコックを捻るとピタリとお湯が止まる。

曇ってしまった浴室の鏡を手のひらでこすると、鏡の中には今にも泣きだしそうな表情を浮かべた私が映っていた。

「これね、駅前に新しくできたケーキ屋さんのチョコケーキなの。夕飯前だけど、たまにはいいでしょ?」

「わあ、美味しそうだね」

バスルームからリビングに向かうと、テーブルには温かい紅茶とケーキが用意されていた。
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