またいつか君と、笑顔で会える日まで。
「萌奈ともっと仲良くなりたいんです」

ハッキリそう言うと、おばさんはにこりと笑った。

「あら、そう。萌奈ちゃん、ようやくお友達ができたのねぇ」

「え?」

おばさんは一方的に話し始めた。

「あんなことがあったけど……よかったわよねぇ。生きていて」

「え……」

生きていてよかった?なにそれ。意味が分からない。

あたしがおばさんのいう『あんなこと』をすべて知っている前提で話はどんどん進んでいく。

「中学校の時、酷いイジメにあっていたんだってね。でもずっと一人で抱え込んで我慢してたのね。中二の夏、家のクローゼットの中で……ね。救急車が来たり騒然としちゃって。お母さんなんてもう取り乱して泣き叫んでて……ああ、もうあまりにも可哀想で思い出したくもないわ」

おばさんの言葉を止めるタイミングがない。

「あのとき発見が早くて本当によかったわ。でも、イジメを苦に自殺未遂なんて……。相当追い詰められちゃってたのねぇ」

「……自殺未遂……」

買い物袋を握り締める両手に力がこもる。萌奈がイジメを苦に自殺未遂をした……?

そんなこと1ミリも知らなかった。まさか、彼女にそんな過去があったなんて。

グルグルと萌奈の顔が頭に浮かぶ。
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