またいつか君と、笑顔で会える日まで。
青木萌奈side
ピーンポーンっというチャイムの音で目が覚めた。
いつの間にか部屋の中は真っ暗で、手探りで枕元のスマートフォンを探し出し時間を確認する。
「え。もう21時……?」
夕飯の時間はとっくに過ぎている。もしかしたら起こされたのに起きられなかったのかもしれない。
のそのそとベッドから這い出て部屋の電気をつける。
寝ぼけ眼で大きく背伸びをして首を回した時、トントントンっという一定のリズムを刻んだ母の足音が階段を昇ってきた。
「萌奈、起きてる?開けるよ」
部屋の扉はノックと同時に開いた。
「ごめん。ぐっすり寝ちゃった。夕飯はいらな――」
「来てるよ」
「え?」
「来てるのよ、お客さんが」
「うん。誰?」
母の目がなぜか少しだけ輝いているように見える。
「イチハシリリカさんっていう可愛らしい女の子」
「へぇ……」
頷きながら母の言った名前を反復する。
イチハシリリカ。聞き覚えのある名前だ。