またいつか君と、笑顔で会える日まで。

ザワザワと体育館がうるさくなるのもお構いなしに、彼女は実に堂々と挨拶をした。

そして最後に「皆さん、人生は長いようで短いものです。一日一日を大切に、悔いのない学校生活を送りましょう!」と笑顔で締めくくったのだった。

授業の終わりを告げるチャイムが鳴り休み時間になると、教室中が一斉に騒がしくなる。

あちらこちらからやってきた生徒たちが私の前の席に座る一橋リリカの元へ集まってくる。

何もやることのない私はポケットからスマホを取り出して意味もなく画面をタップした。

「リリカ、また遅刻~?」

「そうそう。最近、なかなか起きられなくてさぁ」

「なんで?夜更かし?」

「そうそう。アプリのゲームやったり動画見たりしてるとなかなか寝られないんだよねー」

よくもまあそんなに話すことがたくさんあるものだ。

心の中で感心していると、その中の一人がよろけて私の机にぶつかった。

「痛っ!!」

彼女は声を上げると、私を非難する様な視線を投げかけた。

ただ座ってスマホをいじっていて何の落ち度もないはずの私を彼女はぎろりと睨み付けてこれ見よがしにチッと舌打ちをした。

「ちょいちょい、今のは違うでしょー!」

すると、リリカちゃんが唐突に振り返った。

「大丈夫!今の、もえもえは悪くないよ!」

もえもえ。

頭の中でリリカちゃんの言葉を繰り返す。

今の、もえもえって、なに?
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