またいつか君と、笑顔で会える日まで。
声を出して大丈夫だと言いたいのに、声にならない。

苦しい。苦しくて仕方がない。

まるで首を絞められているみたいな息苦しさに襲われる。

あのときみたいだ。私が死のうと決めたあの時みたい。

――中2の夏、私は自室のクローゼットで突発的に首を吊った。

地獄のようなイジメは延々と続いていた。

最初は悪口だけだったのに、それがエスカレートして物を捨てられたり隠されたり壊されたりする日々。

肉体的にも精神的にも追い詰められながらもギリギリのところでなんとか持ちこたえていた。

それなのに、あの日、2学期の終業式の日に以前仲良くしていた3人に帰り際に声をかけられて地元の夏祭りに誘われた。

『一緒に行こう!楽しみにしてるね!!浴衣着て集合ね』

その言葉を信じてしまった私はまた元のように戻れるかもしれないという淡い期待を抱いてしまった。

浴衣を着て、慣れない下駄を履き喜び勇んで待ち合わせの場所まで向かった。

指の間が痛み血がにじむ。そんなことどうだってよかった。

また、みんなの輪に戻れるかもしれない。

『いってらっしゃい』と笑顔で見送ってくれた母の顔が蘇る。

私がイジメられているのを母は言葉にはしなくても察していたに違いない。

これで母に嘘をつかなくて済む。安心させてあげられる。

でも、私を待っていたのは容赦のない仕打ちだった。
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