またいつか君と、笑顔で会える日まで。
気分は落ち着いたし、教室に戻って授業を受けるぐらいの元気はあるけど『寝なさい』とリリカちゃんに言われたから言うことを聞くことにした。

「リリカちゃん、色々迷惑かけちゃってごめんね」

「んー?迷惑って~?」

ズルズルっと音を立ててパイプ椅子をひぱってくるとリリカちゃんはドカッと腰かけた。

「保健室に連れてきてもらったこともそうだし、もう授業も始まってるのに私の面倒を見させちゃって……」

「萌奈が謝る必要ないでしょ。あたし的にはラッキーだし。授業をさぼる大義名分ができたわけだ!」

「でも――」

「それにさ、こうやって二人っきりで話すことなかなかできないじゃん?あたしね、萌奈とゆっくり話したいって思ってたんだよねぇ」

リリカちゃんは真っ直ぐ私を見つめたまま微笑んだ。優しくて温かいその笑顔は本当に太陽のようで。眩しいぐらいに輝いている。

「私と?」

「そう。私と。何ででしょうか?」

「え……。分かんない……」

「でーすーよーねー!あたしのこと全然覚えてないでしょ?あたしにとって萌奈は恩人なのに」

「恩人?」

「萌奈がいなかったらきっとあたし今こうやってこの学校に通えてないよ。多分、中卒で仕事してた。さて、どうしてでしょうか?」

「全然記憶にないよ?」

私が誰かの恩人になったことなんて一度もない。

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