またいつか君と、笑顔で会える日まで。
こんな風に誘ってもらってもすぐに答えられないのはきっと中2のあの夏祭りの日の出来事がトラウマとなっているからだろう。

信じて裏切られるのは怖い。だから、信じることはやめた。

あの日からできるだけ人との関わり合いを避けてきた。

期待しなければ裏切られることもない。そうすることで自分を必死になって守ってきた。
だけど……、どうしてだろう。

リリカちゃんなら、そう思う。

リリカちゃんは私を裏切らないんじゃないか……そう思わせてくれる。

「いいよいいよ、大丈夫!体調良くなったらまた誘うし!」

一歩、踏み出してみたい。もしかしたら、何かが変わるかもしれない。

「――じゃない」

「ん?」

私は思わずガバッと体を起こした。リリカちゃんが驚いたように瞬きを繰り返す。

「どしたの、急に」

自分の気持ちに正直になろう。

行きたいと思ったでしょ、私。リリカちゃんと放課後出かけたいって思った。

もう何年も友達と放課後に遊んでいないし、もう正直どうやって遊ぶのかも分からない。

それに……。

嶋田さんと浅川さんに言われた言葉を思い出しそうになり私はぎゅっと拳を握り締めた。

私とリリカちゃんの関係に誰かが口をはさむなんておかしい。

頭では分かっていても、どうしてもその先のことを考えてしまう。

リリカちゃんと仲良くすれば、嶋田さんと浅川さんは気分を害してしまうかもしれない。

私みたいなスクールカーストの最底辺にいる人間が自分と仲良しのリリカちゃんと親しくしていることが許せないんだ。

自分も同じランクに落ちてしまう気がするから。

スクールカーストなんて全く気にしていないリリカちゃんとは違い、二人はスクールカーストにこだわりを持っているんだろう。

その気持ちは分からなくもない。

狭くて窮屈な教室に居場所を失うことがどんなに怖いか。
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