またいつか君と、笑顔で会える日まで。
3対1でも全くひるむ様子はない。
それどころかリリカちゃんは3人の中のリーダー格の子に食って掛かった。
「口で勝てないと分かったら手出すんだ?いいよ、やれば?アンタじゃあたしには勝てないから。ほら、やんなよ。叩きなよ?早くやれよ!」
「何よ、アンタ!!うざいんだけど!!」
あまりの気迫にたじろぐ3人を尻目にリリカちゃんは更に煽る。
「悪いけど、あたしはアンタ達には負けないよ。顔だって性格だってスタイルだってあたしはアンタ達より数百倍いいし、頭だっていいもん。アンタ達みたいに群れないと生きていけない弱い奴らとは違う。ほら、悔しかったら言い返してみなよ。どうせいい返せないんだろうけど」
「くっ……」
「ねぇ、もう行こうよ」
3人の中に暗雲が立ち込める。
もめていることに気が付いたのか、周りにいる人たちがざわつき始めた。
他の2人はリリカちゃんに勝ち目がないと思ったのか一人の子の腕をグイグイと引っ張った。
「なに?一言も言い返せないの?まぁ、しょうがないか。さっきから『うざい』とか『何なの』しか言ってないもんねぇ。一人じゃ何もできないくせにいきがってんなよ」
リリカちゃんの言葉に、ギリギリと奥歯を噛みしめているもののあたしをイジメた主犯格は何も言い返せなかった。
「つーかさ、謝って。萌奈に。中学の時のことも、今も。あたしの友達を悪く言うなんて許さない。もしまた悪く言ったら今度はただじゃおかないから」
リリカちゃんが吐き捨てるように言った瞬間、3人は一斉に駆け出した。
「ちょっ、逃げんの!?信じらんない!!」
まるで蜘蛛の子を散らすみたいに私たちの目の前からあっという間にいなくなった。あの時、夏祭りの時に見た光景と重なる。
でも今は違う。あの時とは状況がまったく違う。
リリカちゃんがいたから。
「あー、逃げられた!!ごめん、萌奈。謝らせらんなかった」
振り返ったリリカちゃんは困ったように頭をかいた。
私は黙って首を横に振る。
嬉しかった。リリカちゃんが言い返してくれたことが。友達と言ってくれたことが。
本当に嬉しくてたまらなかったんだ。