こんなにも愛しているのに〜すれ違う夫婦〜
妊娠がわかる前頃から
樹たちの会社を畳んで
林田さんの会社へ移行する前の
多忙を極めていた時期から
樹から香水の移り香に気づくようになった。
いつも同じ香水の香りだった。
弱い日もあれば
強い日もあって。。。
忙しいということで
体調を崩しがちだった私を
労るふりをして
距離を置いていたに違いない。
私も樹に疑いを質すような勇気もなかった。
ただ
私たちの間に深い溝が横たわっているのを
確信していた。
あの日
たまたま
トイレに起きた私と帰宅して鉢合わせをした樹は
瞬間目を逸らした。
’あぁ、女の人と会っていたんだなぁ。’
と
思った。
樹らは香水の香りが強く香っていた。
妊娠したことを樹と話す時間もないまま
その日
初めての酷いつわりに襲われて
トイレで戻した。
驚いた樹から抱き抱えられるようにして
洗面所に行ったが
あの香水の香りをさせている樹が
そばにいるせいで
つわりは治らなかった。
「驚いた?
妊娠8週目なの。」
「。。。。」
樹の目が大きく見開かれ
顔を苦しそうに少し歪めた。
「困る?
今妊娠したら?産んではいけないの?
私は産みたい。
ひとりなっても産みたい。あなたの手助けはいらないから。。。」
「茉里、落ち着いて、、、大丈夫。大事にして、この子が生まれてくるのを
待とう。大丈夫だから、、、」
興奮してくる私の背をさすりながら
樹が大丈夫、大丈夫と何回も繰り返しながら
言った。
今考えたら、
私を宥めているのではなく
自分の気持ちを宥めていたのかもしれない。
樹は2時間ほど仮眠を取って
慌ただしく出かけていった。
今日もまた
女の人と会って
あの香水の移り香を纏って帰ってくるのだろうか。
樹が脱ぎ捨てたスーツからも
ワイシャツからも
アンダーシャツからも
あの香水の香りがした。
あぁ
昨夜は香水の女の人を
抱いたのね。。。
それから
私は酷い吐き気と頭痛に襲われ
理恵に助けられて入院することになったのだ。
理恵が来るまで
そばで
ましろが大泣きしてたっけ。。。
あの子の泣き顔
あの頃と少しも変わらない。。。
樹たちの会社を畳んで
林田さんの会社へ移行する前の
多忙を極めていた時期から
樹から香水の移り香に気づくようになった。
いつも同じ香水の香りだった。
弱い日もあれば
強い日もあって。。。
忙しいということで
体調を崩しがちだった私を
労るふりをして
距離を置いていたに違いない。
私も樹に疑いを質すような勇気もなかった。
ただ
私たちの間に深い溝が横たわっているのを
確信していた。
あの日
たまたま
トイレに起きた私と帰宅して鉢合わせをした樹は
瞬間目を逸らした。
’あぁ、女の人と会っていたんだなぁ。’
と
思った。
樹らは香水の香りが強く香っていた。
妊娠したことを樹と話す時間もないまま
その日
初めての酷いつわりに襲われて
トイレで戻した。
驚いた樹から抱き抱えられるようにして
洗面所に行ったが
あの香水の香りをさせている樹が
そばにいるせいで
つわりは治らなかった。
「驚いた?
妊娠8週目なの。」
「。。。。」
樹の目が大きく見開かれ
顔を苦しそうに少し歪めた。
「困る?
今妊娠したら?産んではいけないの?
私は産みたい。
ひとりなっても産みたい。あなたの手助けはいらないから。。。」
「茉里、落ち着いて、、、大丈夫。大事にして、この子が生まれてくるのを
待とう。大丈夫だから、、、」
興奮してくる私の背をさすりながら
樹が大丈夫、大丈夫と何回も繰り返しながら
言った。
今考えたら、
私を宥めているのではなく
自分の気持ちを宥めていたのかもしれない。
樹は2時間ほど仮眠を取って
慌ただしく出かけていった。
今日もまた
女の人と会って
あの香水の移り香を纏って帰ってくるのだろうか。
樹が脱ぎ捨てたスーツからも
ワイシャツからも
アンダーシャツからも
あの香水の香りがした。
あぁ
昨夜は香水の女の人を
抱いたのね。。。
それから
私は酷い吐き気と頭痛に襲われ
理恵に助けられて入院することになったのだ。
理恵が来るまで
そばで
ましろが大泣きしてたっけ。。。
あの子の泣き顔
あの頃と少しも変わらない。。。