こんなにも愛しているのに〜すれ違う夫婦〜
俺は全身に冷水を浴びせかけられたかのように、固まってしまった。
茉里はあの時の俺の過ちを知っている。
その時にきちんと向き合わなかったから
そのつけが今回って来ている。
と言っていた。
俺からしたら
本当に忘れたい過ちで、
できれば一生茉里には知られたくなかったことだ。
「それが弱い日もあれば強い日もある。
毎日毎日、あなたから香るの。もうどうしていいか、わからなかった。
怖くってあなたに質すこともできなかった。
そうしているうちに、あなたから香りも他の香りにも敏感になって、
嘔吐が始まった、、、
いよいよこのままだと自分がダメになると、思って病院へ行ったら
まさかの妊娠。
つわりが始まっていたのね。
でも
あなたの香を拒否する心の表れでもあったみたい。」
俺はそんなことも気づかずにあの香りの彼女を近づけていたのか。
「あなたの全身からあの香を感じた日、そこから切迫流産が始まった。
あなたは私の妊娠を知った日が、彼女を抱いた日で、まさか
自分が原因で流産しそうになったんて、夢にも思わなかったでしょう?」
「。。。。。」
「あの日、間違いなくあなたはあの香水の人とそういう関係だった。。。
違う?
私の妊娠さえなければ、あなたはその人と一緒になれたのに。
私たちが足枷になったのかもしれない。」
「違う。
そういうのとは違う。茉里と離婚するなどという選択肢は、初めからない。
俺が一番許せない俺の卑怯なところだ。
彼女とはあれっきりだ。本当に後悔しかない出来事なんだ。
あのあと、茉里が切迫流産になって苦しんでいるのを見て、
俺は自分がしでかしたことで
茉里を苦しめていると、どうしようもないほど後悔したし、
いろいろ考えていたら、ある日突然、会社で倒れて救急に運ばれた。
だから、退院の日にしか茉里のところに行けなかったんだ。
そんな小心者のくせに、何をやってたんだか、、、」
「樹はその人のこと好きだったんでしょう?
私たちより、彼女といることで自分に自信が持てて、
本当のパートナーは、
彼女だったんじゃないかしら。私なんかじゃなくって。
斉木さんだったかしら、彼女よりずっとあなたの近くにいて、
あなたも好きだった人。。。」
「違う、、、そんなことはない。なかった。」
茉里の一言一言が胸に突き刺さり
埋めてしまった過去を、苦しいほどに暴かれている。
「深野 芳絵さん。。。」
「!!!」
「なんで知っているのかって?」
「廉の妊婦検診の日。7ヶ月目だったかしら、珍しくあなたが病院に
付き添ってくれた時にに、お会いしたわよね。
あなたのかつての仕事仲間で、結婚を機に新会社には行かずに退職した人。
お母様が入院をされて、介護に里帰りをしているけど、妊娠がわかって、私と同じ病院に
通っている、と明るく溌剌とした頭の良さそうな人だったわ。
彼女が妊娠しているって、言った時あなたはっとしたでしょう?自分の子かもしれないって
思った?」
「。。。。。」
茉里はあの日の出会いを、細部に渡るまで記憶しているようだった。
確かに
俺がしでかした間違いの相手、深野芳乃とあそこで再会したのは悪夢のようだった。
しかも
深野はいつものように明るく振る舞い
小指の先ほども怪しげな振る舞いはなかったようだったのに、彼女の妊娠を告げられた時の
俺の動揺を茉里に気づかれていたなんて。
「彼女の妊娠はちゃんと結婚された人との間に出来られた子で、多分、日数的に?
あなたはほっとしていたわね。
それが彼女の気に障ったようにも見えたわ。」
「どうして、彼女だとわかった?」
喉が詰まったようにしか声が出なかった。
「彼女から香ってきた香りがね、、、あの香水だったの。
行方がわからなくなったあの香水。
彼女、結婚されてもあなたのことを好きだったのね。」
茉里はあの時の俺の過ちを知っている。
その時にきちんと向き合わなかったから
そのつけが今回って来ている。
と言っていた。
俺からしたら
本当に忘れたい過ちで、
できれば一生茉里には知られたくなかったことだ。
「それが弱い日もあれば強い日もある。
毎日毎日、あなたから香るの。もうどうしていいか、わからなかった。
怖くってあなたに質すこともできなかった。
そうしているうちに、あなたから香りも他の香りにも敏感になって、
嘔吐が始まった、、、
いよいよこのままだと自分がダメになると、思って病院へ行ったら
まさかの妊娠。
つわりが始まっていたのね。
でも
あなたの香を拒否する心の表れでもあったみたい。」
俺はそんなことも気づかずにあの香りの彼女を近づけていたのか。
「あなたの全身からあの香を感じた日、そこから切迫流産が始まった。
あなたは私の妊娠を知った日が、彼女を抱いた日で、まさか
自分が原因で流産しそうになったんて、夢にも思わなかったでしょう?」
「。。。。。」
「あの日、間違いなくあなたはあの香水の人とそういう関係だった。。。
違う?
私の妊娠さえなければ、あなたはその人と一緒になれたのに。
私たちが足枷になったのかもしれない。」
「違う。
そういうのとは違う。茉里と離婚するなどという選択肢は、初めからない。
俺が一番許せない俺の卑怯なところだ。
彼女とはあれっきりだ。本当に後悔しかない出来事なんだ。
あのあと、茉里が切迫流産になって苦しんでいるのを見て、
俺は自分がしでかしたことで
茉里を苦しめていると、どうしようもないほど後悔したし、
いろいろ考えていたら、ある日突然、会社で倒れて救急に運ばれた。
だから、退院の日にしか茉里のところに行けなかったんだ。
そんな小心者のくせに、何をやってたんだか、、、」
「樹はその人のこと好きだったんでしょう?
私たちより、彼女といることで自分に自信が持てて、
本当のパートナーは、
彼女だったんじゃないかしら。私なんかじゃなくって。
斉木さんだったかしら、彼女よりずっとあなたの近くにいて、
あなたも好きだった人。。。」
「違う、、、そんなことはない。なかった。」
茉里の一言一言が胸に突き刺さり
埋めてしまった過去を、苦しいほどに暴かれている。
「深野 芳絵さん。。。」
「!!!」
「なんで知っているのかって?」
「廉の妊婦検診の日。7ヶ月目だったかしら、珍しくあなたが病院に
付き添ってくれた時にに、お会いしたわよね。
あなたのかつての仕事仲間で、結婚を機に新会社には行かずに退職した人。
お母様が入院をされて、介護に里帰りをしているけど、妊娠がわかって、私と同じ病院に
通っている、と明るく溌剌とした頭の良さそうな人だったわ。
彼女が妊娠しているって、言った時あなたはっとしたでしょう?自分の子かもしれないって
思った?」
「。。。。。」
茉里はあの日の出会いを、細部に渡るまで記憶しているようだった。
確かに
俺がしでかした間違いの相手、深野芳乃とあそこで再会したのは悪夢のようだった。
しかも
深野はいつものように明るく振る舞い
小指の先ほども怪しげな振る舞いはなかったようだったのに、彼女の妊娠を告げられた時の
俺の動揺を茉里に気づかれていたなんて。
「彼女の妊娠はちゃんと結婚された人との間に出来られた子で、多分、日数的に?
あなたはほっとしていたわね。
それが彼女の気に障ったようにも見えたわ。」
「どうして、彼女だとわかった?」
喉が詰まったようにしか声が出なかった。
「彼女から香ってきた香りがね、、、あの香水だったの。
行方がわからなくなったあの香水。
彼女、結婚されてもあなたのことを好きだったのね。」