こんなにも愛しているのに〜すれ違う夫婦〜
「離婚なんかしたくない。
別れるなんて嫌だ。茉里がいるから、茉里がいるから、、、
確かに俺が考えもないことをしでかしてしまった。でも、いつも茉里のことを思っていた。
君が眩しい存在であっても、君がいたから俺は生きていけた。
今度のことは、初めから斉木に癒されたいと思ってしでかしたことじゃない。
一緒に食事をするうちに、俺の苦しみとかを知らない子と話したりすることで束の間の
現実から逃れられただけだ。
離婚はしたくない。
離婚なんて考えていない。」
必死になって樹は私に訴えた。
硬く握りしめた手の指が白くなるほど。
「樹、、、
もう今の私たちは同じところにいないし、同じものを見ることもない。
一緒の時間にベッドに入っても、お互いに背を向け合って、近くにいるのに
遠くにいる人みたいだった。
手一つ握るわけでなし、
抱きしめ合うわけでなし
キスしあうわけでなし、、、
同居人でしょ。
離婚というより、同居解消よ。」
そう
同居していただけ。
「廉が亡くなって、君はもう俺にあまり抱かれたくないのかと思っていた。
ましろの時も避妊していたはずなのに、妊娠して、望まないことだったかもしれないと。
でも、俺はうれしかった。お袋たちが言うように自分の意思を無視されたなんて
つゆほども思っちゃいない。
廉の時は、やっと妊娠したのに不安定でダメになったらどうしようって、怖がっているのかな。と
思うと、中々君を誘えなかった。
そのうち
本当に忙しくなって、ままならないことも多くなって、自分の中から性欲が失せたような
気がしたんだ。」
「私は、、、
そういうことがなくなってしまったから、樹が彼女にときめいて溺れていったとしても
仕方がないことかもしれないって思っていた。
私にはもう樹の中では、女としての部類から外されたって。」
「茉里、それは違う。
いくら俺たちにそういう時間がなくっても、心にもないことを俺はしない。」
「それは、、、わからない。世の中絶対っていうことはないでしょう。
深野さんとのこともあるし。」
「はぁ、茉里。。。」
樹は大きくため息をつくと、
頭を抱えた。
「私たちの離婚は理恵に頼んで、手続きを始めてもらうわ。」
「俺は絶対に離婚しない。
ちゃんと話し合って、一緒にいてくれ。お願いだ。ましろにもきちんと謝罪する。
情けない姿を見せたけど、また、信頼してもらえるように自分を立て直すから。
俺を支えてくれ。こんなに情けない俺だけど。お願いだ。
茉里。」
「樹、あなたもましろの親だからわかるでしょう。
あの子があなたを受け入れることは無理だと思うわ。
それをすればあの子は壊れてしまう。最悪、私たちの手元から
離れてしまう可能性だってある。
それは私が嫌。自分の子供ですもの、ちゃんと育てたい。途中で手放すなんて
できない。
あの子には責任があるのよ。
ちゃんとできたからって、その都度ご褒美をあげるような育て方では
人間は育たないものよ。」
私は精一杯の皮肉を込めて樹に言い放った。
「離婚は嫌だ。
茉里やましろに何が起きているかを夫として父親として、ちゃんといつも知りたい。
お願いだ。きちんと家族でいられるように、俺にチャンスをくれ!」
「樹、、、今大事なのはましろのことでしょ。
あなたがしたいことより、これからのましろのことを一番に考えなくっちゃ
いけないんじゃない?」
樹は黙り込んだ。
きっと混乱しているんだと思う。
彼の中では、浮気や不倫などとは思っていなかったことが、彼女の誘いをキッパリと断ったということで、どこか帳消しにした自分の浅はかな行動が、こんなに大きなツケになって自分にのしかかるとは、思わなかったのだろう。
別れるなんて嫌だ。茉里がいるから、茉里がいるから、、、
確かに俺が考えもないことをしでかしてしまった。でも、いつも茉里のことを思っていた。
君が眩しい存在であっても、君がいたから俺は生きていけた。
今度のことは、初めから斉木に癒されたいと思ってしでかしたことじゃない。
一緒に食事をするうちに、俺の苦しみとかを知らない子と話したりすることで束の間の
現実から逃れられただけだ。
離婚はしたくない。
離婚なんて考えていない。」
必死になって樹は私に訴えた。
硬く握りしめた手の指が白くなるほど。
「樹、、、
もう今の私たちは同じところにいないし、同じものを見ることもない。
一緒の時間にベッドに入っても、お互いに背を向け合って、近くにいるのに
遠くにいる人みたいだった。
手一つ握るわけでなし、
抱きしめ合うわけでなし
キスしあうわけでなし、、、
同居人でしょ。
離婚というより、同居解消よ。」
そう
同居していただけ。
「廉が亡くなって、君はもう俺にあまり抱かれたくないのかと思っていた。
ましろの時も避妊していたはずなのに、妊娠して、望まないことだったかもしれないと。
でも、俺はうれしかった。お袋たちが言うように自分の意思を無視されたなんて
つゆほども思っちゃいない。
廉の時は、やっと妊娠したのに不安定でダメになったらどうしようって、怖がっているのかな。と
思うと、中々君を誘えなかった。
そのうち
本当に忙しくなって、ままならないことも多くなって、自分の中から性欲が失せたような
気がしたんだ。」
「私は、、、
そういうことがなくなってしまったから、樹が彼女にときめいて溺れていったとしても
仕方がないことかもしれないって思っていた。
私にはもう樹の中では、女としての部類から外されたって。」
「茉里、それは違う。
いくら俺たちにそういう時間がなくっても、心にもないことを俺はしない。」
「それは、、、わからない。世の中絶対っていうことはないでしょう。
深野さんとのこともあるし。」
「はぁ、茉里。。。」
樹は大きくため息をつくと、
頭を抱えた。
「私たちの離婚は理恵に頼んで、手続きを始めてもらうわ。」
「俺は絶対に離婚しない。
ちゃんと話し合って、一緒にいてくれ。お願いだ。ましろにもきちんと謝罪する。
情けない姿を見せたけど、また、信頼してもらえるように自分を立て直すから。
俺を支えてくれ。こんなに情けない俺だけど。お願いだ。
茉里。」
「樹、あなたもましろの親だからわかるでしょう。
あの子があなたを受け入れることは無理だと思うわ。
それをすればあの子は壊れてしまう。最悪、私たちの手元から
離れてしまう可能性だってある。
それは私が嫌。自分の子供ですもの、ちゃんと育てたい。途中で手放すなんて
できない。
あの子には責任があるのよ。
ちゃんとできたからって、その都度ご褒美をあげるような育て方では
人間は育たないものよ。」
私は精一杯の皮肉を込めて樹に言い放った。
「離婚は嫌だ。
茉里やましろに何が起きているかを夫として父親として、ちゃんといつも知りたい。
お願いだ。きちんと家族でいられるように、俺にチャンスをくれ!」
「樹、、、今大事なのはましろのことでしょ。
あなたがしたいことより、これからのましろのことを一番に考えなくっちゃ
いけないんじゃない?」
樹は黙り込んだ。
きっと混乱しているんだと思う。
彼の中では、浮気や不倫などとは思っていなかったことが、彼女の誘いをキッパリと断ったということで、どこか帳消しにした自分の浅はかな行動が、こんなに大きなツケになって自分にのしかかるとは、思わなかったのだろう。