こんなにも愛しているのに〜すれ違う夫婦〜
私と樹は話し合うも、離婚については平行線を辿るばかりだった。

離婚に向けて
裁判かけることもしたくなく
何となく
自宅マンションに私とましろが住み
樹は一駅離れたところに
ウィークリーマンションを借りて、
別居という形になっていた。

必要なものは
連絡をして私やましろと会わないように
自宅に立ち寄っている。

そういう
生ぬるい生活が3ヶ月も続き
ましろは劣悪な環境の中
志望校に合格した。

自分ではどうしようもないくらい
酷い状況の中、
よく自分を励まして頑張ったものだと
私は感心した。

「お母さん、、、」

「おめでとう。ましろ。」

その日はましろの合格祝いを二人して
自宅で祝っていた。

「お母さん、お父さんとこれからどうするの?」

ましろの気がかりはそこだろう。

「離婚するつもりだけど、お父さんが応じてくれないのよ。
裁判するのもね。。。
でも ましろも高校生になるし、はっきりとさせなきゃね。」

「お母さん、お父さんのことまだ好きでしょ?」

「えっ?」

「お母さんぼうっと考え事している時が、たびたびあって、
あぁ、お父さんのこと考えているんだな、、、って
思っていたの。
私は、お父さんのことを許せないし、前みたいに尊敬もできないけど、
お母さんもそうだと思うけど、
お父さんのことを信じて
やり直したい、、、?」

「ましろ、、、
お母さんもどうしていいかわからないのよ。」

ましろは私が思っているよりは、うんと大人になっている。
自分の思いより、私の親として言うより女性としての
私の気持ちを慮ったくれていた。

「私、、、
お母さんが考えて決めたことに反対はしない。
ただ、今はまだお父さんと一緒に暮らすのは無理なの。
ごめんね。」

「ましろ、謝らないで。
お母さんも一緒。お父さんかましろかを選ぶとしたらましろを選ぶ。
でも、今すぐは結論は出ないかも知れない。
少し、考えさせてくれる?」

子供だと思っていたましろが
私のことを考えてくれて、父親とのことに大きく譲歩してくれた。
父親と彼女に男女関係はなかったとか
大人の事情を言うにはまだ、憚られる。
かといって、クリアな仲ではなかったと妻である自分が思っているのだから
それを細かに娘に言うわけにもいかない。

結局
樹と話し合い、
樹の願いを聞いて
ましろが大学に入るまでは
別居して離婚を回避する方向になった。

あんなに頑なに離婚だと言っていたのに
いざというときになったら
決断できずに安易な道を選んだ自分に
呆れ返る。
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