こんなにも愛しているのに〜すれ違う夫婦〜
翌朝。
ましろとは顔を合わせることはなかった。
どうやら
部屋に閉じこもったままらしい。
茉里は朝ごはんを食べていた。身支度も済んでいた。
俺の朝ごはんは、、、ない。
自分でパンを焼いて食べるなんて
何年ぶりだろう。
茉里が俺のことを拒否している。
朝の挨拶すらない。
「今日仕事の後、何か用事ある?」
目の前に座る茉里に尋ねてみた。
「仕事に行くのもどうしようかと、考えている。」
「ましろ、、、か。」
「放って置けないでしょう。
あなたは会社に行って、彼女のケアでもしてあげれば。」
「茉里らしくない言い方だな。」
茉里は決してこういう言い方をしない人間だった。
「私らしいって何だろう?
あなたにとって都合がいい奥さんってことかしら?
家の愚痴も言わず、あなたに感情のままに話すこともなく
私だって、、、
私だって、、、
物を投げつけながら、感情剥き出しのまま発散したいことだって
あるのよ!」
語気荒く言う茉里を初めて見た。
茉里は感情が募ると、
静かになってぽつりぽつりとしか話した事がなかった。
穏やか
一言で言えばそう言うやつだと思っていたのだが。
今まで
俺に対して荒げる感情をぶつけてくるということもなく
常にサポートしてくれた。
理路整然とした物言いに、こちらが退路を塞がれるような思いを
したことがあるが
それが真っ当な意見なので何も言えなかった。
そんな時ですら
優しく
「私はあなたあっての私だから。」
と言ってくれて
俺を尊重してくれた。
俺の方が
幾度となく自分の我を通して
茉里に無理をさせたかもしれない。
それがわかっていて
茉里に対し負い目みたいな気持ちを、
抱いていることもある。
「斉木には、申し訳なかったと連絡した。
上司と部下という立場から逸脱しないと」
「申し訳なかった、、、なんで当事者同士で謝んなきゃいけないのよ。
昨夜のうちにケアするなんて、、、
あなたが一番傷つけたのは、ましろだし、私でしょ。
私たちはそのうち謝っとけばいいって、、、軽くみられたもんね。
信頼関係は崩れたのよ、あなたとあなたのかわいい部下のせいで。」
茉里の言葉が毒のように流れ込む。
茉里にもましろにも
毒のような言葉を言わせ
その言葉で、
二人も苦しんでいるのがわかるのだが
こういう時
俺はどうすればいいのだろうか?
「昨夜、詳しくは話さなかったけど、ましろのことを理恵に頼んだの。
離婚となるともっと、彼女を頼ることになると思うけど。
ましろをしばらく預けるから、きちんと話し合おう。
私が後悔しているのはね。あなたとちゃんと向き合ってこなかったこと。
そのつけが今、回って来たのよね。」
「俺は離婚しない。
離婚なんかしたくない。」
「信頼も尊敬も無くなったのに、一緒に暮らしていけるわけないじゃない。」
「とにかく今日、帰ってからゆっくりと話そう。全てを話そう。理恵さんにも
間に入ってもらうかもしれないから、君が話せる範囲で話していて構わない。
ただし、俺は離婚はしたくない。」
「帰ってから話しましょう。」
俺は疲労困憊して気持ちが立てなおせないまま出勤した。
ましろの顔を見て
謝りたかったが、ましろと話す勇気もなかった。
ましろとは顔を合わせることはなかった。
どうやら
部屋に閉じこもったままらしい。
茉里は朝ごはんを食べていた。身支度も済んでいた。
俺の朝ごはんは、、、ない。
自分でパンを焼いて食べるなんて
何年ぶりだろう。
茉里が俺のことを拒否している。
朝の挨拶すらない。
「今日仕事の後、何か用事ある?」
目の前に座る茉里に尋ねてみた。
「仕事に行くのもどうしようかと、考えている。」
「ましろ、、、か。」
「放って置けないでしょう。
あなたは会社に行って、彼女のケアでもしてあげれば。」
「茉里らしくない言い方だな。」
茉里は決してこういう言い方をしない人間だった。
「私らしいって何だろう?
あなたにとって都合がいい奥さんってことかしら?
家の愚痴も言わず、あなたに感情のままに話すこともなく
私だって、、、
私だって、、、
物を投げつけながら、感情剥き出しのまま発散したいことだって
あるのよ!」
語気荒く言う茉里を初めて見た。
茉里は感情が募ると、
静かになってぽつりぽつりとしか話した事がなかった。
穏やか
一言で言えばそう言うやつだと思っていたのだが。
今まで
俺に対して荒げる感情をぶつけてくるということもなく
常にサポートしてくれた。
理路整然とした物言いに、こちらが退路を塞がれるような思いを
したことがあるが
それが真っ当な意見なので何も言えなかった。
そんな時ですら
優しく
「私はあなたあっての私だから。」
と言ってくれて
俺を尊重してくれた。
俺の方が
幾度となく自分の我を通して
茉里に無理をさせたかもしれない。
それがわかっていて
茉里に対し負い目みたいな気持ちを、
抱いていることもある。
「斉木には、申し訳なかったと連絡した。
上司と部下という立場から逸脱しないと」
「申し訳なかった、、、なんで当事者同士で謝んなきゃいけないのよ。
昨夜のうちにケアするなんて、、、
あなたが一番傷つけたのは、ましろだし、私でしょ。
私たちはそのうち謝っとけばいいって、、、軽くみられたもんね。
信頼関係は崩れたのよ、あなたとあなたのかわいい部下のせいで。」
茉里の言葉が毒のように流れ込む。
茉里にもましろにも
毒のような言葉を言わせ
その言葉で、
二人も苦しんでいるのがわかるのだが
こういう時
俺はどうすればいいのだろうか?
「昨夜、詳しくは話さなかったけど、ましろのことを理恵に頼んだの。
離婚となるともっと、彼女を頼ることになると思うけど。
ましろをしばらく預けるから、きちんと話し合おう。
私が後悔しているのはね。あなたとちゃんと向き合ってこなかったこと。
そのつけが今、回って来たのよね。」
「俺は離婚しない。
離婚なんかしたくない。」
「信頼も尊敬も無くなったのに、一緒に暮らしていけるわけないじゃない。」
「とにかく今日、帰ってからゆっくりと話そう。全てを話そう。理恵さんにも
間に入ってもらうかもしれないから、君が話せる範囲で話していて構わない。
ただし、俺は離婚はしたくない。」
「帰ってから話しましょう。」
俺は疲労困憊して気持ちが立てなおせないまま出勤した。
ましろの顔を見て
謝りたかったが、ましろと話す勇気もなかった。