薔薇の嵐が到来する頃 吹き抜ける物語 ~柚実17歳~
1・また春がきて、私は高校3年生になった。
また春がきて、私は高校3年生になった。
 1年の頃から仲良くしていた弓香となっちゃん。そして私のマイスイートハート、澤石純。
 未だ仲良し関係は続いていたものの、弓香とだけはクラスが離れてしまった。
 それでも隣のクラスだし、いつでも会いにいけるよねー、と私はなっちゃんと連れ立って、新学期の教室へと入って行った。
 初めはあいうえおの出席順で並んで座るように、と、黒板にどこかで見たような筆跡があった。
 私はそこで窓際の席についた。
 私のすぐ後ろは空席で、その後ろには女子生徒が頬杖ついて窓を見ていた。
 私のすぐ後ろの席――澤石純は、まだ学校に現れていない。
 いつも青白い顔をしていて、いかにも低血圧な彼。
 チャイムぎりぎりにくるんだろな、と思いつつ、また一緒に時間を過ごせることにうきうきしていた。
 なっちゃんが、自分の席にカバンを置いてから、私の席に来た。
「はー。もう受験生だねー」
「やな響き。ちょっと前まで受験生だったのに、またかって感じ」
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