薔薇の嵐が到来する頃 吹き抜ける物語 ~柚実17歳~
「なんていうか……。私、母親としか一緒に入ったことないからな。しかもちいさい頃の話」
「温泉は」
「あ、それは大丈夫。タオルで身体隠したりしない」
「それは隠せよ。マナーだろ」
「あはは」
 私は純の剥き出しの肩をびたん、と叩く。
「柚実なら男風呂も平気で入ってきそうなんだけどな」
「何その想像」
「だっておまえ男風呂にいても違和感ない」
「何を~」
 私はまた彼の肩をばん、と叩く。
「痛いって」
「純は? お風呂は弟さんたちと入ることあるの?」
 純は男三兄弟の長男だという。
「一番下のチビとは入ることあるかな。まだ小学生だし」
「ちゃんとお兄ちゃんしてるんだね。私は男のひとと入った記憶ないな。お父さんいない家庭だったし」
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