薔薇の嵐が到来する頃 吹き抜ける物語 ~柚実17歳~
「いつからいないの」
「初めからいなかったんじゃないかな」
 純の不躾な質問も、さらりと返せる。
 それほど、私の中で父親というものに何の固執もない。
「そう」
「私もよく解んないけど」
 横になっている姿勢が疲れて、私は仰向けになった。
「弁当も自分で作ってるんだよな、柚実は」
「母が働いてるからね。掃除洗濯炊事なんでもこい、よ」
「頼もしいな」
 純がそう言って、上半身を起こした。
 そしてまた私の上に覆いかぶさってくる。
「頼もしいから、ご褒美」
 そうしてまた、私たちはことに及ぶのだった――。










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