薔薇の嵐が到来する頃 吹き抜ける物語 ~柚実17歳~
「柚実さん? あなたが? へええ」
 彼は細い目で上から下まで私のことを見回す。
「純さんの彼女さんなんですか」
「えっと……」
 公言するのは純が嫌がるかなと言葉を濁したのだけれど、すぐさま彼は肯定した。
「そう」
「へええ。こんなに美人さんの彼女がいるんだぁ。まじ尊敬。羨ましい。しかも詞が書けるなんて。じゃあ、俺がインスパイア受けてたのは、柚実さんの書いたものなんですね。いや凄い。出会えてよかった。俺もちょくちょく詞書いたりしてるんすよ。曲も書きます。じゃあ、曲は純さんから、歌詞は柚実さんから受けたものなんすね。俺のとーちゃんとかーちゃんですね」
「この年齢でとーちゃんは勘弁」
「うはははは」
 まるで陰と陽。
 純は淡々としていて、右京くんはカラカラとしている。
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