薔薇の嵐が到来する頃 吹き抜ける物語 ~柚実17歳~
「いいじゃん、いいじゃん。素敵」
「まじっすか。いやー、かーちゃんから賛辞受けた」
「かーちゃんはやめて。私あなたを産んだ覚えはない」
 そう言いつつも、私は笑みが漏れてしまう。
「いい?」
 純が尋ねてくる。
「すごくいいよ。よかったね、純。右京くんと出会えて」
 純が唇の端だけを上げて笑う。
「ストリートでやりなよ。ライブハウスとまでは行かなくても」
 彼らの声は繊細だけど、強い。
 街の雑踏でも負けないほどだろう。
「ストリート。かっけー! やりたい。俺やりたいっす、純さん」
「そうだな。まだまだ人前でやるには練習が必要だけど」
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