薔薇の嵐が到来する頃 吹き抜ける物語 ~柚実17歳~
 私は彼女と同じく、はーっと息を吐いた。
 ツインテールを揺らして、彼女は言う。
「まだずっと停学中でいたかったよー」
「ああ……ははは」
 私は苦笑い。
 なっちゃんは剣道部の外部からのコーチと不倫関係にあって、それが去年学校にバレたのだ。
 コーチは解雇。なっちゃんはあわよくば退学処分となるところ、ぎりぎりのところで停学3カ月で収まった。
「学校ないと何やっていいか解んないよ、私」
「悠々自適だよ。朝起きなくていいし。夜寝なくていいし」
 彼女は私の机に手をかけ、しゃがみこむ。
「でも親の目は冷たかったけどね」
 私も、去年。
 当時担任だった男の先生と、ちょっとした関係にあった。
 ひと夏の恋。
 だけど私はやっぱり純が好きで、裏切るような形になったけれど、やっぱり好きで。
 一時離れたけれど、今はうまくいっている。
 腐れ縁だけど。
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