薔薇の嵐が到来する頃 吹き抜ける物語 ~柚実17歳~
「あ、純くんきたよ」
 チャイムと同時に彼が俯きながら、よれよれと中に入ってきた。
 なっちゃんは自分の席へと戻っていく。
「おはよ、純」
「――なんだ、またおまえと同じクラスか」
 寝惚け眼をごしごしと指でこすりながら、彼はぼそっと呟く。
「嬉しくないの」
「別に」
 朴訥として素っ気ないけれど、彼は正真正銘の私の彼だ。
 普段はこんなんだけど、たまに甘えてきたり、弱みを見せたり、そういうところも好きだ。
 そこへがらっとドアが開いて、担任教師と思わしきひとが入ってきた。
「はい、みんな席に着けー」
「高野せんせーだ!」
「高野、担任?」
「やったー。まじラッキ」
 教室内が騒めく。
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