薔薇の嵐が到来する頃 吹き抜ける物語 ~柚実17歳~
 紺色の長袖のシャツを、早くも腕まくりして彼は言う。
「私も。小学校の遠足で来た以来」
「俺もそうかも」
 こころなしか純は楽しそうだ。
 動物なんて興味ないと思っていたのに、そうでもなさそう。
 私は上は白いプリントシャツに、黒と灰色の格子柄のロングスカートを履いていた。
 私服で純に会うのは滅多にない。
 スカート好きのスカート部の私は、生地を翻して駆け出した。
「純! リスだよ、リス!」
 園内を少し進んだところの、大きな檻の中に灰色のリスを見つけた。
 檻のなかは、大きな木々が茂っていて、初めは何がいるのか解らなかったけれど、ちょろちょろと動くそいつを見つけた。
「はしゃぎすぎ」
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