アスミルセカイ
その頃の教室。
(あ、春樹、水筒忘れてる)
「ごめん、雫。ちょっと行ってくるね!」
「え、うん。いってらっしゃい」
階段を突っ走っていく。
「春樹いますかっ!」
勢い良くドアを開け、それなりの声で叫んだ。
その時はまさに春樹のシュート練の時で、
「っしゃ」
一発でシュートを決める春樹。
その横顔と滴る汗は綺麗に見えた。
「未来、なんか用か?」
「…あ!ごめんごめん。水筒忘れてる」
「あー、ありがと。まあでもそこに水飲み場あるけどな」
「!?…〜っ///し、失礼しましたっ!」
(ほんと可愛くない!)
体育館を出ようとしたその時、
私の頭に春樹の手が触れる。
「ありがとな」
もう何も考えられなくて、ただただ、
「子供扱いしないでってば!」
「ははは」
悔しいけど、春樹の行動1つで簡単にムカついたり、悲しくなったり、嬉しくなったりするんだ。