アスミルセカイ
庭園。
雫は部活で庭園を訪れていた。
「今日の空、いつもより雲が少なくて綺麗」
空に向かってカメラを向けると、
「ねえ」
「うわああああああああああ」
驚きすぎて尻餅をつく。
レンズに朝陽の顔が大きく写ったのだ。
驚かない方がおかしい。
「朝陽くん、心臓に悪いよっ!」
「あ、ごめん」
「あれ部活は…?」
「休憩中に抜けてきた」
「今日はサボってないんだね、良かった…」
「今日、春樹いないしさー」
「え、今日いないの?珍しい」
「そうそれなの。何でも、成瀬が日誌書くの忘れたらしくて。居残り」
「え、じゃあ今2人きりなんだ」
「うん…えまずいの?」
「え、いや別に。そうじゃなくて!」
「あの2人、何で付き合わねえのかな」
「え、朝陽くん。それどういうこと!?」
「え、だって成瀬も春樹の事好きだろ?春樹も成瀬のことずっと好きらしいし」
「ええええ!?」
「うん」
「じゃあこれ2人に内緒ね」
しー、と朝陽は人差し指を口に当てる。
この時、
私達は、思った。
俺達は、思ったんだ。
この時間が続けばいいのに、と。