アスミルセカイ

軍の集まるグラウンドへ行くと、応援団として衣装を着た未来と春樹くん。
そして、全学年リレーのリハをする朝陽くん。
(あ、走ってる…。)

「あ、雫!!」

「未来ー!っめっちゃかわいい!絶対モテる!」

「きゃはー!やっぱし!?こりゃ困っちゃうなあー」

「バカ言ってんな、未来。練習するぞ」

「はあーい、春樹はお堅い脳みそをお持ちですねえ」

「本当だよねー、未来ちゃん」
聞いたことない声に私は驚いて、振り返る。
すると、未来と同じくらいの背で、赤いハチマキを腕に巻いた応援団の同級生男子が未来を見てニコニコしていた。
「おー柏木」
未来は、おお、と驚いた顔をして話しかける。

「誰?」

「柏木新(かしわぎ あらた)だよ。隣の2-Aの学級委員長。」

「どーも!未来ちゃんと仲良くさせてもらってます、新でーす」

「マジでそういうのいいから、柏木」

「あはは、ごめん」

私は分かる。
背後にいる春樹がイライラしていることを。
でもどう行動すればいいのか分からないから、とりあえずこのままでいる。

「未来!集合かかってる!来いっ!」

「はーい、じゃね!お互い頑張ろ!」

「んー、あ、九条くん」
柏木は春樹の元へ駆け寄る。
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