アスミルセカイ
そして私は部室まで朝陽くんを連れてきた。
「ちょっとそこに座ってて」
「おっけい」
すると、廊下からドタドタと凄い勢いで走ってくる音が聞こえる。
ガラッ
「蒼井雫(あおい しずく)いますか!?」
おさげで目がぱっちりしている女子が、この部室のドアを勢いよく開けた。
「え、部室の奥行った…ってあれ」
「あれ?何でいんの、朝陽くん」
「朝陽くん、写真でき…」
「雫!!!」
「あれ、なんで未来がいるの?」
おさげ女子は私の親友の成瀬未来(なるせ みく)。
完全無敵の美少女と呼ばれ、陰で結構モテてる事を本人は自覚していない。
「未来、どしたの」
「雫!庭園に咲いてるアネモネの写真撮って欲しいの!お願い!」
「あー、美術部で使うんだよね。分かった。ちょっと待っててね」
「ありがとおおお!…てかなんで朝陽いんの?」
「あー、なんか庭園でさっき会って。写真に写っちゃって、見せたら欲しいって言ってくれたから」
「そーなんだー。朝陽くんと雫って組み合わせ、今まで見た事なかったからさー」
「あんま関わりなかったもんね、朝陽くん」
「確かに。雫ちゃんと関わるのは何気に初めてかも。小学校から一緒なのにね」