アスミルセカイ

「っー。ね、ねえ春樹…大切な人って…」
「そ、のまんまだよ」
「え」

「好きだ、未来」

未来にとって何よりも待ち望んでいた言葉。
10年間の片想い。
こんな形で、

「ずっと好きだったけど、素直になれなくて…。こんな形でごめん」
未来は首をぶんぶんと振ってから真っ直ぐ春樹を見た。
「春樹ってほんと、少女漫画に現れる王子様だよね…っ」

繋いでいた手を繋ぎ直す。
そのまま観客席へ戻る。

「あー、恋人繋ぎしてる!」
朝陽が満面の笑みでからかう。
「うっせえな、悪いか」

「おめでとう、2人とも」
心から祝福している。
本当に。
特に未来とずっと一緒にいたからかもしれない。
寂しいとも思った。
けど、
「雫、ありがとう!これからもよろしくね!」
全員寂しくないや。
未来だから。
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