ちょっと大人だからって、ずるい。
「泊里さんには連絡したの?」
朱莉の言う泊里さんとは、七瀬家の家政婦のうちの一人である。
毎日私の面倒を見てくれ、家事をしてくれたり、ご飯を作ってくれたり、時にはお迎えに来てくれたり、相談に乗ってくれたり。
家政婦さんの中でも、私が信頼を置く人。
「さっき連絡したよ」
「そう…ならいいけど……あんまり遅くならないようにね?」
「うん、ありがとう」
にこりと笑顔をむけると、朱莉は心配そうな顔ながらも、鞄に荷物を積める。
「じゃぁ、また明日ね」
「うん、明日のテスト……が、頑張ろうね……」
「ははっ、遥香なら心配しなくても大丈夫だよ。努力してるもん」
「っ…朱莉ぃ」