ちょっと大人だからって、ずるい。
「じゃ、無理しないように」
立ち上がり、ひらひらと手を振る朱莉。
その仕草でさえ、朱莉がすると優雅に見える。
「う、うん、また明日ね!」
みーくんのことを考えていた私は、慌てて手を振り返すと朱莉はファミレスを出ていった。
―――久々に”みーくん”こと湊都に再会した日。
少し気持ちが動揺していたのか。
この時の私は、明日のテストを受けることができなくなることをまだ知らない。