ちょっと大人だからって、ずるい。
泊里にGPSを確認されることに不快感を抱いたことはない。
むしろ、大切に思われているからこその行動であり、大変感謝している。
〈ごめんなさい、もうすぐ帰ります。迎えは不要です。〉
返信をして、即座に立ち上がる。
ファミレスの最寄り駅から家の最寄り駅まで3駅。
車で来てもらうより、電車で帰ったほうが早いだろう。
なにより、私は電車が好きだ。
目的の駅に着くまで、何も考えずに窓の外を眺めることが許される。
あの時間がたまらなく、好き。
家の中や学校生活は私にとってどこか窮屈であり、頭の中を空っぽにできるのは何故か電車の中だけなのだ。
学校への通学も、パパや使用人には「車で」と言われたが、全員の反対を押し切って電車で通っている。