ちょっと大人だからって、ずるい。
しかし、このような事態は初めてではない。
最近ではもうそういったことはないが、幼い頃は金目当ての変な奴に何度か攫われそうになったことがある。
パパが私のスマホにGPS機能をつけているのもそのせいだ。
ただ、今回は…
「いいか、大人しく俺の質問に答えろ」
いつもと違う。
冷静な、落ち着きを放った相手の低い声。
突きつけられた銃口が、変に震えてもいない。
何度か経験しているからこそわかる。
これは、おそらく金銭目当てでない。
銃の扱いにも、慣れている。
頭の中の警鐘がガンガン鳴り出す。
――この人、いつでも本気で私を殺せる。