ちょっと大人だからって、ずるい。


背後の男の気配を感じない。


完全に勘だが、追いかけてきていない気がする。



走るペースを落とし、後ろを振り返ろうとすると
何か、少しだけやわらかいものに体が激突した。



「んぐっ」



鼻が折れ曲がるかと思うくらい結構な勢いで、顔面から激突した。


いや、何なら鼻は折れ曲がったに違いない。


「…痛ったぁ……」


ひりひりとする鼻を抑えながら、ぶつかった物体を見上げると


「あ、爆笑茶髪ロン毛…」

「は?…あれれ?君は確かお昼のしりもち女子高生、遥香ちゃ………ッ!おい!湊都!」


昼間に私がしりもちをついたときに大爆笑していた、茶髪ロン毛さんだった。

私を見るなり、青ざめた表情で湊都の名前を呼ぶ。



え?湊都?



ていうか、なんでこんな所に爆笑茶髪ロン毛さんが?


< 25 / 57 >

この作品をシェア

pagetop