ちょっと大人だからって、ずるい。
「チッ…あの野郎……大丈夫か?ちょっと見せてみ?」
「え?」
少し屈んで、私と目線を合わせる茶髪ロン毛さん。
肩のあたりまで伸びている髪の毛が顔に触れるようで、少しうっとうしそうに耳に髪の毛をかける仕草が、とても妖艶でドキリとした。
右目の下にある泣きぼくろが、更に妖艶さを引き立てている。
「…ん、見た目は酷いけど……ちょっと触ってもいいか?」
悲痛そうに表情を歪め、私を見る。
…もしかして、私のお鼻、やっぱり折れ曲がってる?
いまだにヒリヒリするお鼻さん。
顔の中心核である、大切なお鼻さん…。
「はい…」
茶髪ロン毛さん。
私の大切なお鼻をいい感じに直して下さい…。
「ん、ちょっと痛いかもしれないけど、我慢して」
そう言うと突然、茶髪ロン毛さんは着ていたシャツを脱ぎ、私の右腕に巻き付けた。