ちょっと大人だからって、ずるい。
「え?……ッ!!!!」
予想外の行動と、予想外の激痛。
言葉にならない程の痛みに、頭が真っ白になって熱くなる。
自分の意志に反して、膝の力が抜ける。
「ごめん、これは一応止血しとかないとまずい…」
一人で立てなくなってしまった私を支えながら、器用に私の腕にシャツを巻き付けていく。
「楓葉、どうし……遥香!?」
痛みで朦朧とする意識の中、茶髪ロン毛さんの白いシャツが真っ赤に染まっていくのを見ながら、本日2度目の湊都の驚いた声を聞いた。
――その後のことはあんまり覚えていない。
ただ、何やら湊都がテキパキとみんなに指示を出し、そして車に乗り込み
「巻き込んでごめん。もう、大丈夫だから」
私に優しく、そう言ってくれた事は覚えている。