ちょっと大人だからって、ずるい。
「チョコ…せめて食べてから目を覚ましたかった……」
朝から損した気分に苛まれながら、ゆっくりと起き上がる。
「った……」
右腕に力を入れると、ズキリとした鋭い痛みが走った。
何事かと右腕を見ようとして、ふと自分の服装を見ると、クリーム色のパーカーを制服の上から着ている状態だった。
パーカーはかなり大きいサイズで、指先まで袖で覆われている。
誰のパーカーだろうか。
少し甘い…バニラみたいな。けれど甘ったるくなく、上品で良い匂いがする。
ていうか、ここはどこなのか。
辺りをを見渡すと、私が寝ていたらしい大きなキングサイズベット。
脇にはオシャレな形の間接照明が置いてあった。
白い壁に、白い天井。
淡いブルーのカーテンは、空気清浄機による風でそよそよと揺らいでいる。