ちょっと大人だからって、ずるい。
「いふぁい…」
涙目になる。
めっちゃ噛んだ…めっちゃ痛い…
「ぶっ…うははははっ!」
すると、楓葉が爆笑し始めた。
この人は、いつも私が痛い時に笑う。
大変失礼なやつである。
高速もぐもぐをやめ、ゆっくりもぐもぐをしながら、楓葉を睨みつける。
「うはっ…あー、ごめんごめん。だって、はるちん見てて飽きないんだもん。変わった子だね~。昨日あんな目にあったのに、全然気後れしてないし。なんならテストの方を先に心配しちゃってるし」
参ったなぁ…と言いながら、楓葉は前髪をかきあげ、こちらを見てクスッと笑う。
さらりとした少し長めの髪の毛の隙間から、色っぽい楓葉の目が見える。
「おもしろいね、はるちん。気に入ったよ」
そういうと、楓葉はポンっと私の頭を撫で、どこかへ別の部屋へ去ってしまった。