精霊たちのメサイア
25.微かな繋がり
25.微かな繋がり
獣王国の使節団が到着し、ビルはとても嬉しそうにしていた。その感動の再会を果たしているところに同席させてもらってるのはいいけど、落ち着かない。なぜなら精霊たちがヒソヒソと話しながら落ち着かないから。白い耳の獣人の男性を見ながら何やらワーワー言っている。雰囲気的に精霊たちはこの獣人男性のことがあまり好きじゃない……のかな?周りの人たちには騒いでいる精霊たちが見えていないから良かったけど、見えてたら微妙な空気になっていただろう。
私にしか見えていない時の精霊は少し透けているような見え方。みんなが見える時はハッキリと見えるから、羽がなければ人と間違えてしまいそう。
「レイラ様、ビルヒリオ殿下を助けて頂き、心から感謝申し上げます」
使節団の皆さんに頭を下げられて慌ててしまった。
「あ、あの、頭をっ、どうか頭を上げてください!! 私はビル、ヒリオ殿下と偶然出会ってお話ししていただけで、助けてくれたのは騎士達ですから、お礼なら騎士達に伝えてあげて下さい!」
「もちろん騎士の皆様にもお礼をと国王陛下より文を預かっております。 ですがレイラ様がビルヒリオ殿下を見つけてくださらなければこうして殿下とは会えておりませんでした。 本当にありがとうございます」
ビルの側近の1人であるウーゴさんはただの側近というよりも、ビルの事を本当に心配しているお兄さんって感じがする。そしてもう1人の……精霊にワーワー言われている彼_護衛騎士のレジスさんは申し訳なさそうでも心配していたようにも見えない。
ビルは使節団の皆さんと積もる話もあるだろうから、私は早々に退散した。ジュリア様は今日は予定があると言っていたし、これからどうしよう。王宮で訪ねられる場所はジュリア様のところだけ。アレクサンダー殿下とはわさわざ訪ねるような関係でもない。あれこれ考えていたら、精霊たちが庭へ誘ってくれた。
精霊たちが連れてきてくれた庭園には見事な薔薇が咲き誇っていた。こんなにもたくさんの、それも色んな種類の薔薇を育てるなんて……凄い。
ん?薔薇?ちょっと待って……!!ここって王族しか入れない薔薇園じゃない!?見つかったら怒られる!!
「だいじょーぶー」
「え!? 大丈夫じゃないでしょ!?」
「見えないよーにしたー」
「レイラみえなーいー」
そういう事は早く言って。
私の心配なんてよそに、精霊たちはキャッキャ楽しそうにはしゃいでいる。私は真っ白なベンチに座って広い薔薇園を眺めた。
足音が聞こえので顔を向けると、少し先にこちらに歩いてくる2人の男性が見えた。やばい!と思ったけど、そういえば私見えなくなってたんだと思い、少し浮かせたお尻をまたベンチにつけた。見えないと分かっていても、心臓はバクバクしていて落ち着かない。顔を下に向け、男性2人が通り過ぎるのを待った。けど足音はすぐ側で止まり、通り過ぎる気配がない。
「陛下? 如何いたしましたか?」
陛下!?
顔を上げると年配の男性と目があった。年配と言ってもおじさんと呼んでは失礼になるんじゃないかと思わせる程の凛々しい顔立ちに、豪華な洋服の上からでも分かるほどの鍛えられた肉体をしている。豪華な洋服に身を包んでいるこの男性が陛下だろうか?髪の毛もアレクサンダー殿下と同じシルバーだ。
「見えないのか?」
「何がでしょう?」
国王陛下の側にいる男性は私の姿が見えていない様だけど……国王陛下は確実に私の姿がみえている。
何で!?
「先に戻って会議の準備を頼む」
「畏まりました」
国王陛下と私だけが残る形になった。
「君は羽がないから精霊では無さそうだが……人だろうか?」
やっぱり見えてる……。
“あれれー?”
“なんでー?”
“どうしてー?”
精霊たちにも見えてしまってる理由はわからないみたいだ。
私は慌てて立ち上がってスカートを小さくもちあげご挨拶した。
「は、は初めまして。 ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。 レイラ・ヴァレリーと申します。 また、勝手に庭園に入ってしまい申し訳ございません!! 直ぐに出て行きますの_」
「そうか、君がヴァレリー前侯爵が養子に迎えた子か。 気にする事はない。 思う存分堪能するといい」
「で、ですが__」
「誰かに何かを言われたら、私の許可を得ていると言いなさい」
国王陛下はそう言うと目尻に皺を作った。なんだろう……胸がざわつく。嫌なざわつきじゃない……くすぐったいと言った方が近いだろうか……知らない感覚だった。
「あり、がとう…ございます……」
国王陛下の背中を見送り、見えなくなった途端足から力が抜けた。どすっとベンチに座り、暫くその場から動くことができなかった。
獣王国の使節団が到着し、ビルはとても嬉しそうにしていた。その感動の再会を果たしているところに同席させてもらってるのはいいけど、落ち着かない。なぜなら精霊たちがヒソヒソと話しながら落ち着かないから。白い耳の獣人の男性を見ながら何やらワーワー言っている。雰囲気的に精霊たちはこの獣人男性のことがあまり好きじゃない……のかな?周りの人たちには騒いでいる精霊たちが見えていないから良かったけど、見えてたら微妙な空気になっていただろう。
私にしか見えていない時の精霊は少し透けているような見え方。みんなが見える時はハッキリと見えるから、羽がなければ人と間違えてしまいそう。
「レイラ様、ビルヒリオ殿下を助けて頂き、心から感謝申し上げます」
使節団の皆さんに頭を下げられて慌ててしまった。
「あ、あの、頭をっ、どうか頭を上げてください!! 私はビル、ヒリオ殿下と偶然出会ってお話ししていただけで、助けてくれたのは騎士達ですから、お礼なら騎士達に伝えてあげて下さい!」
「もちろん騎士の皆様にもお礼をと国王陛下より文を預かっております。 ですがレイラ様がビルヒリオ殿下を見つけてくださらなければこうして殿下とは会えておりませんでした。 本当にありがとうございます」
ビルの側近の1人であるウーゴさんはただの側近というよりも、ビルの事を本当に心配しているお兄さんって感じがする。そしてもう1人の……精霊にワーワー言われている彼_護衛騎士のレジスさんは申し訳なさそうでも心配していたようにも見えない。
ビルは使節団の皆さんと積もる話もあるだろうから、私は早々に退散した。ジュリア様は今日は予定があると言っていたし、これからどうしよう。王宮で訪ねられる場所はジュリア様のところだけ。アレクサンダー殿下とはわさわざ訪ねるような関係でもない。あれこれ考えていたら、精霊たちが庭へ誘ってくれた。
精霊たちが連れてきてくれた庭園には見事な薔薇が咲き誇っていた。こんなにもたくさんの、それも色んな種類の薔薇を育てるなんて……凄い。
ん?薔薇?ちょっと待って……!!ここって王族しか入れない薔薇園じゃない!?見つかったら怒られる!!
「だいじょーぶー」
「え!? 大丈夫じゃないでしょ!?」
「見えないよーにしたー」
「レイラみえなーいー」
そういう事は早く言って。
私の心配なんてよそに、精霊たちはキャッキャ楽しそうにはしゃいでいる。私は真っ白なベンチに座って広い薔薇園を眺めた。
足音が聞こえので顔を向けると、少し先にこちらに歩いてくる2人の男性が見えた。やばい!と思ったけど、そういえば私見えなくなってたんだと思い、少し浮かせたお尻をまたベンチにつけた。見えないと分かっていても、心臓はバクバクしていて落ち着かない。顔を下に向け、男性2人が通り過ぎるのを待った。けど足音はすぐ側で止まり、通り過ぎる気配がない。
「陛下? 如何いたしましたか?」
陛下!?
顔を上げると年配の男性と目があった。年配と言ってもおじさんと呼んでは失礼になるんじゃないかと思わせる程の凛々しい顔立ちに、豪華な洋服の上からでも分かるほどの鍛えられた肉体をしている。豪華な洋服に身を包んでいるこの男性が陛下だろうか?髪の毛もアレクサンダー殿下と同じシルバーだ。
「見えないのか?」
「何がでしょう?」
国王陛下の側にいる男性は私の姿が見えていない様だけど……国王陛下は確実に私の姿がみえている。
何で!?
「先に戻って会議の準備を頼む」
「畏まりました」
国王陛下と私だけが残る形になった。
「君は羽がないから精霊では無さそうだが……人だろうか?」
やっぱり見えてる……。
“あれれー?”
“なんでー?”
“どうしてー?”
精霊たちにも見えてしまってる理由はわからないみたいだ。
私は慌てて立ち上がってスカートを小さくもちあげご挨拶した。
「は、は初めまして。 ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。 レイラ・ヴァレリーと申します。 また、勝手に庭園に入ってしまい申し訳ございません!! 直ぐに出て行きますの_」
「そうか、君がヴァレリー前侯爵が養子に迎えた子か。 気にする事はない。 思う存分堪能するといい」
「で、ですが__」
「誰かに何かを言われたら、私の許可を得ていると言いなさい」
国王陛下はそう言うと目尻に皺を作った。なんだろう……胸がざわつく。嫌なざわつきじゃない……くすぐったいと言った方が近いだろうか……知らない感覚だった。
「あり、がとう…ございます……」
国王陛下の背中を見送り、見えなくなった途端足から力が抜けた。どすっとベンチに座り、暫くその場から動くことができなかった。