精霊たちのメサイア
42.お願い
42.お願い
「レイラ、テオに世界樹の涙を渡したそうだね」
お父様にそう聞かれて頷いた。
「レイラのおかげでジュリアはもうすっかり元気だよ。 本当にありがとう」
「ううん、いいの。 私もジュリア様には元気でいてほしいし、テオにも幸せでいてほしいから、私の為でもあったの。 だから本当に気にしないで」
ミーシャは私のところに飛んでくると、小さな身体で私に抱きついた。そしてそのまま膝の上に座って落ち着いた。
「ジュリア殿下の件で世界樹の涙を使った事は陛下にお伝えしなければならない。 そうなればその経緯を聞かれるだろう。 その流れでレイラがメサイアだと話すことになる。 メサイアは基本は王族が保護する対象だ。 つまり王宮に部屋を用意されるだろう。 そうなった場合、レイラはどうしたい?」
王族が相手でも、私の気持ちを優先しようとしてくれるアロイス兄様の言葉に嬉しくなる。
「お父様やお母様、お兄様達には迷惑をかけるかもしれないけど、私は王宮には住みたくない。 ヴァレリー家にいたい。 みんなと一緒にいたいの」
「迷惑なわけがないだろう。 お前のためにできる限りのことはしてやりたい」
「そうですよ。 どんな些細なことであろうと、遠慮せず私たちを頼りなさい」
「そうだよ、レイラ。 僕たちは家族なんだから」
「ふふっ、頼りになる兄達で良かったわね」
笑って頷くと、お父様は声を出して笑った。
「それにね、王宮に住まないのは私の望みでもあるけど、国王陛下の為でもあるの」
みんなにアルファから聞いた絆の話をした。すると段々とみんなの顔が険しくなっていく。
「国王陛下に初めてお会いした時に何とも言えない胸のざわつきを感じた。 精霊王の話の通りなら、私と国王陛下は顔を合わせる毎に惹かれあってしまう……それはどうしても避けたいの」
「この事は誰も知らないね?」
「うん、お父様。 誰にも話してないわ」
「それなら良かった。 国王陛下との話の場はどうにかするから、この件についてはもう悩まなくていい。 いいね?」
頷くとお父様は私の頭を撫でた。
「あ!」
「どうしたの?」
「私がメサイアだって事アレクサンダー殿下は知ってるの」
知られてしまった経緯を話した。勿論ペネロープ様ということは伏せて、アレクサンダー様の知人の解毒をしたという事にした。
「なるほどね、それでか……謎が解けてスッキリしたよ」
テオの言葉に首を傾げた。
「アレクサンダー殿下がレイラを初めてダンスに誘った日、レイラに色々聞いたら挙動不審だっただろ? 信じてないわけじゃないけど、怪しいなって思ってたからモヤモヤしてたんだ」
「え!? そんなに挙動不審だった!?」
「レイラは嘘が下手だよ」
恥ずかしくて顔を隠すとテオに笑われた。
暫くの間みんなで談笑していた。ここ最近は色んなことがあって気持ちが張り詰めていたせいか、この時間が今まで以上に幸せに感じられた。家族との時間がこんなに楽しいだなんてこの世界に来るまで知らなかった。
「あらあら、少し疲れてしまったかしら? 夕食までまだ少し時間があるから、お部屋で休んだら?」
「そうしなさい」
お父様がベルを鳴らすとサラが部屋に入ってきた。
「レイラを部屋で休ませてやってくれ」
「かしこまりました」
「ちょっとだけお部屋で休むね」
みんなにそう言ってサラと一緒に部屋に戻った。ベッドで寝る様言われたけど、寝過ぎちゃいそうだったからソファーに横になった。張っていた糸が緩んだせいか、一気に睡魔に襲われて、一瞬にして夢の世界に入ってしまった。
「レイラ、テオに世界樹の涙を渡したそうだね」
お父様にそう聞かれて頷いた。
「レイラのおかげでジュリアはもうすっかり元気だよ。 本当にありがとう」
「ううん、いいの。 私もジュリア様には元気でいてほしいし、テオにも幸せでいてほしいから、私の為でもあったの。 だから本当に気にしないで」
ミーシャは私のところに飛んでくると、小さな身体で私に抱きついた。そしてそのまま膝の上に座って落ち着いた。
「ジュリア殿下の件で世界樹の涙を使った事は陛下にお伝えしなければならない。 そうなればその経緯を聞かれるだろう。 その流れでレイラがメサイアだと話すことになる。 メサイアは基本は王族が保護する対象だ。 つまり王宮に部屋を用意されるだろう。 そうなった場合、レイラはどうしたい?」
王族が相手でも、私の気持ちを優先しようとしてくれるアロイス兄様の言葉に嬉しくなる。
「お父様やお母様、お兄様達には迷惑をかけるかもしれないけど、私は王宮には住みたくない。 ヴァレリー家にいたい。 みんなと一緒にいたいの」
「迷惑なわけがないだろう。 お前のためにできる限りのことはしてやりたい」
「そうですよ。 どんな些細なことであろうと、遠慮せず私たちを頼りなさい」
「そうだよ、レイラ。 僕たちは家族なんだから」
「ふふっ、頼りになる兄達で良かったわね」
笑って頷くと、お父様は声を出して笑った。
「それにね、王宮に住まないのは私の望みでもあるけど、国王陛下の為でもあるの」
みんなにアルファから聞いた絆の話をした。すると段々とみんなの顔が険しくなっていく。
「国王陛下に初めてお会いした時に何とも言えない胸のざわつきを感じた。 精霊王の話の通りなら、私と国王陛下は顔を合わせる毎に惹かれあってしまう……それはどうしても避けたいの」
「この事は誰も知らないね?」
「うん、お父様。 誰にも話してないわ」
「それなら良かった。 国王陛下との話の場はどうにかするから、この件についてはもう悩まなくていい。 いいね?」
頷くとお父様は私の頭を撫でた。
「あ!」
「どうしたの?」
「私がメサイアだって事アレクサンダー殿下は知ってるの」
知られてしまった経緯を話した。勿論ペネロープ様ということは伏せて、アレクサンダー様の知人の解毒をしたという事にした。
「なるほどね、それでか……謎が解けてスッキリしたよ」
テオの言葉に首を傾げた。
「アレクサンダー殿下がレイラを初めてダンスに誘った日、レイラに色々聞いたら挙動不審だっただろ? 信じてないわけじゃないけど、怪しいなって思ってたからモヤモヤしてたんだ」
「え!? そんなに挙動不審だった!?」
「レイラは嘘が下手だよ」
恥ずかしくて顔を隠すとテオに笑われた。
暫くの間みんなで談笑していた。ここ最近は色んなことがあって気持ちが張り詰めていたせいか、この時間が今まで以上に幸せに感じられた。家族との時間がこんなに楽しいだなんてこの世界に来るまで知らなかった。
「あらあら、少し疲れてしまったかしら? 夕食までまだ少し時間があるから、お部屋で休んだら?」
「そうしなさい」
お父様がベルを鳴らすとサラが部屋に入ってきた。
「レイラを部屋で休ませてやってくれ」
「かしこまりました」
「ちょっとだけお部屋で休むね」
みんなにそう言ってサラと一緒に部屋に戻った。ベッドで寝る様言われたけど、寝過ぎちゃいそうだったからソファーに横になった。張っていた糸が緩んだせいか、一気に睡魔に襲われて、一瞬にして夢の世界に入ってしまった。