詩的語り
【あなたが私を忘れても】

音にならない言葉を詩にしていた頃のように素直になることは出来ない。

早く大人になりたかったけどこんな大人になりたかったわけじゃない。

あの日あなたに投げた言葉はもう遠い日の夢とまぼろし。

それなのに私は忘れることが出来ないままで。

想い続けていればあの頃の未来は何か違ったでしょうか?

違う形で出逢っていたら違う二人になれましたか?

何を言っても届かない人なのに私はあなたを忘れる事が出来ないのです。

あなたは私を覚えてないかもしれないのに。

歪んでいく道の途中で差し出された手は温かくて永遠に続くと思ってしまった。

そこは砂漠のオアシスと同じで離れてしまえば戻れない場所だと気づいたのは会えなくなってからで。

面影を抱えたまま道を歩きいつしか闇にとらわれて自分の中でしか生きられなくなっている。

食事代わりに薬を、水の代わりにお酒を。

あなたは私を覚えてないだろうけれどそれでいい。

私はあなたを忘れられないけれどそれでいい。

いつかこの道が終われば消えてしまうのだから。

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春の花

さくらさくら

ひらり舞う

記憶の蝶々

また とまれ

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