君と見たい世界






「ちょっと、手…」




学校から出ても手を離してくれない





「だって離したら逃げちゃいそうだから」


「逃げないから離してよ」





そう言うと「分かった」とやっと手を離してくれた






「ここ来たことある?」


「ううん」と首を振ると


「俺も。でも来てみたかったんだよね」


と微笑みながら言った






秋月くんに連れてこられたのは


駅の近くにあるカフェ






周りには友達と来ていたり


カップルで来てるお客さんでいっぱいだった






「なんかこういうのやってみたかったんだよね。放課後デートみたいな」


「デートじゃないでしょ」


「いいじゃん。デートってことにしてよ」






さっき知ったばかりだし


しかも強制的に連れてこられて


全然何考えてるか分からない






「ねぇ、さっきの思い出作りって何?」


さっきからずっと気になってた


答えを聞こうとしたらちょうど店員さんが来て


「まぁ、その話は後にしてさ。ほら、食べよ!」


とはぐらかされてしまった






< 3 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop