君と見たい世界
「ちょっと、手…」
学校から出ても手を離してくれない
「だって離したら逃げちゃいそうだから」
「逃げないから離してよ」
そう言うと「分かった」とやっと手を離してくれた
「ここ来たことある?」
「ううん」と首を振ると
「俺も。でも来てみたかったんだよね」
と微笑みながら言った
秋月くんに連れてこられたのは
駅の近くにあるカフェ
周りには友達と来ていたり
カップルで来てるお客さんでいっぱいだった
「なんかこういうのやってみたかったんだよね。放課後デートみたいな」
「デートじゃないでしょ」
「いいじゃん。デートってことにしてよ」
さっき知ったばかりだし
しかも強制的に連れてこられて
全然何考えてるか分からない
「ねぇ、さっきの思い出作りって何?」
さっきからずっと気になってた
答えを聞こうとしたらちょうど店員さんが来て
「まぁ、その話は後にしてさ。ほら、食べよ!」
とはぐらかされてしまった