君と見たい世界
「ねぇ、いい加減教えてよ」
カフェからの帰り道
さっきはぐらかされてしまって
聞けなかったことをもう一度聞いてみた
「分かった分かった。話すから、あそこの公園寄ろうよ」
2人でブランコに乗って
ゆっくり漕ぎながら
秋月くんは話し出した
「俺ね、あと1年も生きられないんだ」
秋月くんの口から出た言葉は
私が想像もしてなかったことだった
「あと1年かって思ったときに、最後くらい楽しいことして17年にしてはいい人生だったな、なんて思いたくて…」
話してる横顔は
笑ってるけどどこか寂しそうだった
「だから思い出作りに付き合って欲しいって言った」
1年も生きられないって
こんなに元気そうなのに
本当に1年後にはいなくなってるのかな
「流花ちゃんはさ、何も無かったらこの先何十年も生きられるでしょ?」
「うん…」
「その何十年のたった1年。その1年俺にちょーだい」
そんな言い方されたら
そんな顔で見つめられたら
「分かった…」
そう答えるしかなかった