ここはきっと彼の手の内。
「懐かしいな、こうやって、ちゃんと会話するの。」
「そうだね。」
「あのさ、ゴメンだけど着替えてもらえると助かるよ。」
「え?」
自分がどれほど露出しているかを再確認した。
「あっ…!!」
「俺、玄関にいるから着替えて?」
そうだ。彼はこういう人だった。とっても優しい人だった。
「…服がないの。」
「…え?服が、ない?」
「そう。この家のどこにも衣服がない。ついでに言うと靴もない。」
「…なんで、?」
「朝起きたらなくなってた。」
「……伊織…。」