心理作戦といこうか。
ガタッと椅子が動く音がして玲くんを見ると立ち上がっていた。
「どうしたの?」と言うように不思議に思う顔で首を傾げる。
四人掛けのダイニングテーブルの隣の椅子に移動してきた玲くんをただ、見つめるだけ。

「真琴、これ見て。」
何かを手に持っていたのには気が付いたけど、何処かのパンフレットに気が付いた。

「なあに?結婚式場?」

「そう。真琴の意見も知りたいから教えて欲しい。
 此処は俺たちの地元のチャペル。
 真琴が喜ぶかなと思って下見にも行ったけど、良さそうだった。
 真琴のご両親も俺の親も此処で良いんじゃないかなって。」

目が点です。
それに耳を疑った。
私の両親と玲くんのご両親は此処のチャペルを気に入ってくれている。と。

「えっと、どういうこと?
 私の両親と玲くんのご両親が此処のチャペルを気に入ってくれてるってどうして?」

「どうして?って俺たちが結婚するのを首を長くして待ってるからだよ。
 真琴のご両親も俺の親も下見してくれてる。
 予約もした方が良いんじゃないかって真琴のお義父さんと親父が言うから予約もしてある。」

やっぱり、目が点です。
それに耳を疑った。

「私だけ知らなかったの?」

「内緒にしているつもりはなかったけど、真琴がこの事をしったらビックリするだろ?
 だから、真琴には少しずつ結婚まで進めたんだよ。
 結婚式の予約は半年後だから衣装合わせをそろそろしないと間に合わなくなる。」
< 109 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop